外国会社の日本支店登記詳細

 ハワイにつくった会社を日本の法務局に登記することを「外国会社の営業所設置登記」といいます。
 この登記をすることで、日本でもれっきとした『法人格』を得ることができます。すなわち、登記簿が取れる・会社の印鑑証明書も取れる・日本の銀行に法人口座も作れるといったメリットを受けられます。同時に、日本の商法を守らなければならない・納税と申告などをきちんとおこなわなければならないなどの義務も生じます。日本の会社の性格と一番近い形での登記、と規定されていることからも日本の株式会社と同じメリットと義務を果たさなくてはなりません。もちろん登記申請用紙も日本の株式会社の申請用紙と同じものを使います。
 「外国会社の営業所設置登記」は、日本の営業所の所在地を管轄する法務局でおこないます。申請者は『日本における代表者』(もしくは委任状の持った代理人)だけです。弊社では「外国会社の営業所設置登記」に必要な「権限のある認証を受けた書面(業務方法書)」をご用意します。もちろんこれは設立基本料金の中に含まれています。しかし各法務局での実際の登記申請はお客様ご自身で行っていただきます。「外国会社の営業所設置登記」にかかる費用は登録免許税(印紙代)の9万円です。登記申請の具体的な方法は、弊社川崎の著書「30万円でらくらく株式会社をつくる本」にもサンプル付きで記載されていますし、コーポレーションキットと一緒にお渡しする書類の中にも詳しい説明書類が入っています。もちろん日本での登記に関するご相談やご質問等にも全てお答えいたします。
 どうしてもご自身ではやりたくないという人は、弊社の
日本支店登記代行サービスをご利用いただけます。詳しくはこちらのページをご覧ください。

 ところで、「外国会社の営業所設置登記」はハワイに会社をつくったらすぐにしなければならないのでしょうか?
 またハワイに会社をつくった方は必ず日本で「外国会社の営業所設置登記」をしなければならないのでしょうか?
 日本の商法では、「外国会社は、日本において継続して取引を行おうとするときは、日本における代表者を定め、その住所又はその他の場所に営業所を設け、かつ、その営業所について登記及び公告をしなければならない(商法479条1項・2項)」と規定しています。
 これらの規定に違反して、登記をせずに日本において継続して取引した外国会社は、過料の制裁を受け、またその取引について外国会社を代表または代理した者は、その取引につき会社と連帯して責任を負うことになります。
 ようするに、日本で定期的に商売をするなら、営業所をつくって登記する必要があるよということです。
 登記をしないと日本で登記簿や会社の印鑑証明を取ることができません。当たり前ですが「法人格」を得ていないのですから。そうするとこれらの書類が必要な契約などはできないことになります。また法人名義の日本の銀行口座も開設できません。
 また「外国会社の営業所設置登記」をする時期は、上記の規定からも「営業所を設けて継続した取引をおこなうとき」となっています。つまりハワイに会社をつくっても、まだ日本に営業所がなく、商売をおこなわないのであれば、「外国会社の営業所設置登記」はしなくてもよいということになります。「ハワイで会社をつくったとき=日本に登記するとき」ではありません。

 それでは日本での売上が偶発的に発生したり、利益が伴わない活動(マーケティングや広報活動)の場合には登記の必要はないということになります。そうです、このような場合は仮に日本に事務所があっても、法務局への登記や税務署などへの開業届けは不要です。
 これは「駐在員事務所」ということになるからです。「駐在員事務所」は登記や届け出は不要です。その変わりに活動の範囲も決められています。本店のビジネスの宣伝や広告・本店の商品などの展示・本店のビジネスのための買い付けや商談やマーケティングなどです。ようは継続した売上が発生しない内容ですね。
 ハワイの本店で営業活動(売上)を行っていて、日本の駐在員事務所では経費しか使わないような形態がこれにあたります。この場合は申告や納税は米国のみでおこなわれます(駐在員事務所の経費も米国側に組み入れられます)。
 

■ 日本の法務局に関する注意点
現在日本の法務局の登記申請には「手書き登記」と「コンピュータ登記」のふたつの方式があります。どちらを採用しているかは法務局によってばらばらです。このふたつは記載する内容は同じなのですが、用紙も書式も違います。お申込み者にはこれらの詳しいご説明もいたします。
次に「外国会社の営業所設置登記」に関しては細かい規定がないということも理解しておかなくてはなりません。これは元々外国の法律で公認された会社を、日本の法律に当てはめて登記しようというのですから、矛盾が生じる点が多々あります。これに対してあまり細かい規定が無いために、また法務局によっては外国会社の扱いに慣れていないために、180度反対の指示を出される場合があります。
例えば、ある法務局では「○○○株式会社」という商号での登記が認められたのに、別の法務局では「○○○・インコーポレイテッド」というような商号しか認めてもらえない(実はこちらが正解)とか。ある法務局では「添付書類はホチキスで綴じてページとページの間には割り印を押す」と指示されたのに、別の法務局では「添付書類はホチキスで綴じないで、割り印も押さずに提出」と指示されたり。等々、細かいことまであげればキリがありません。しかし最終的には「登記は法務局の担当官の裁量に任せる」と規定されていることから、おかしな話だとは思っても、管轄の法務局の指示に従うしかありません。
早く「外国会社の営業所設置登記」専用の申請書ができ、細かい事も法律で規定されればこのような事はなくなるのですが。
一応弊社では、これまでの経験と実績、法務省関係の通達書類を研究し、最大公約数的に登記がスムーズにできる可能性の高い書類を用意し、方法をお知らせしています。しかし上記のような例から希に、書類を作り直さなければならなくなるような対応をする法務局があることも事実です。この場合、弊社では速やかに法務局の指示通りの書類を作成し、お渡しします。もちろんこれは別途料金などはいただきません。ただしこのような事があると、日本での登記に多少時間が多くかかってしまうことになることだけはご了承くださいませ。最終的に登記ができないということはありませんのでご安心くださいませ。
 

■ 「外国会社の営業所設置登記」に必要なもの

商法が規定している登記に必要な書類は、「登記申請書」です。そしてこの登記申請書には以下の添付書類をつけなければなりません(商業登記法 104条1項)。
(1)本店の所在を認めるに足りる書面
(2)日本における代表者の資格を証する書面
(3)外国会社の定款その他外国会社の性質を識別するに足りる書面
これらの書類は、「本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限ある官憲の認証を受けた書面」と規定されています(商業登記法 104条2項、105条1項)。またこれらは1通の書類でもよいし、複数の書類でもよいことになっています。
簡単に申しますと、「しかるべき処が認証した書類で、申請書に記載された所在場所に確かに本店が存在すること・当該外国会社が確かに日本における代表者を選任したことなどを証明でき、外国会社の性質や種類が識別できること」ということになります。
この辺も規定があまく、「どこの発行したどういう書類」という明確な規定はないのです。ですので法務局によっては指示が違ってきてしまう場合も希にあるのです。
では具体的に「外国会社の営業所設置登記」に必要になるものは以下のとおりです。書類の書き方等はお申込み者に細かくお知らせいたします。
●登記申請書
 申請書の1枚目はワープロソフトで作成します(B4の用紙の二つ折り)。
 2枚目以降のものは法務局でもらってきます。この時に株式会社登記用の書類をもらってくること。
●印鑑届け出書
 こちらも法務局でもらっておきます。
●Articles of Incorporation(基本定款)
 コーポレーションキットに綴じてある原本をコピーして用意します。コピーを手元に置いておいて原本を提出するか、原本を手元に置いておいてコピーを提出するかのどちらかになります。原本にはハワイ州法務局の「登記済み印」が押されていますので、コピーの提出でOKの場合は、コピーのほうを提出しましょう。この場合は原本を確認用に登記官に見せる必要があります。また、Articles of Incorporationの日本語訳文もコピーを取って提出します。
 コーポレーションキットに綴じてあるBylaws(付随定款)は、通常は提出の必要はありませんが、提出してくれという指示があった場合にはコピーをとり、コピーのほうを提出しましょう(その場合は日本語訳文も)。
●業務方法書
 外国会社の本国の登記書類には、日本で登記する際の特有の情報は入っていません。これは「日本における代表者」や「日本の営業所の住所」などです。そこでこれら日本で登記する際だけに必要となる情報を「宣誓供述書」もしくは「業務方法書」という書類に盛り込み、ハワイの公証人に認証してもらっています。
 弊社では「業務方法書」をご用意させていただいております。英文とその日本語訳文です。
 この「業務方法書」は、商法上お手元に届いてから三週間以内に登記することと定められています。書類に三週間の賞味期限があるということになります。
 弊社ではお申込の際、日本営業所登記の時期をいただき、すぐに登記をされる方にはコーポレーションキットと一緒に作成・お渡しし、先での登記をご希望の方には必要時に発行させていただきます。公証人のサインが入っていますので、必ず原本を提出します。必要がある場合はコピーを取っておきましょう。
●会社代表者印(実印)
 登録できる印鑑の大きさは、辺の長さが1cm以上、3cm以内の正方形の中に収まるものでなければなりません。
 これが会社の印鑑証明の印鑑となります。また、重要な契約の時の印鑑となります。
 印鑑の代金は設立費用には含まれていません。各自でご用意くださいませ。
●登録免許税(印紙代)
 登録免許税は9万円です。だいたいの法務局で印紙を売っているので、書類提出のときに購入します。
 印紙はB5の白紙に貼り付け、登記申請書の中に綴じ込んで提出します。
 (登録免許税も設立費用には含まれていませんのでご了承くださいませ。)
●「日本における代表者」の印鑑証明
 発行3ヶ月以内の日本での代表者個人の印鑑証明書を1通用意します。
 「日本における代表者」とは一体なんでしょうか?
 本来外国会社の代表者は外国に住む、外国人だったりするわけです。日本の法務局では登記の際に「日本に住所のある代表者」を要求します。そこで外国会社には「日本における代表者」というものが必要になったのです。
 日本における代表者は本国の外国会社の代表者と同一人物でも、そうでなくても構わないということになっています。したがって弊社のサービスで設立する方は、基本的にはハワイの会社の代表者が「日本における代表者」も兼ねるのが普通でしょう。ちなみに「日本における代表者」は日本でのその外国会社の責任を全て背負うことになります。
 
■ 日本で登記する際の商号(会社名)に関して
例えば『Digital Point, Inc.』は、日本流に訳すと『デジタルポイント株式会社』となります。
実際、昔の登記では「外国会社の登記をおこなう際は、株式会社・有限会社・合資会社などから一番性格の近い種類を明記すること」とあったので、『デジタルポイント株式会社』のような商号で登記する事例がほとんどでした。
しかし商法の改正に伴い、内国の法律で設立された会社と外国会社の区別をつける必要があるなどの理由から、「外国会社の商号は本国の会社名のカタカナ読み」で統一されるようになってきました(平成5年11月5日、民4第6928号、民事局第4課長通知)。
また、2002年11月より商号の登記にローマ字(アルファベット)の使用が認められるようになりました。
この商法の変更により、現在ではハワイにて登記された商号のつづりのままでも日本での商号登記が出来ます。
弊社を例に取りますと、「デジタルポイント・インコーポレイテッド」「Digital Point, inc.」どちらでも登記が可能です。

法務局によっては、現在でも「○○○株式会社」というような商号で登記を受け付けてくれるところもあります。これは法務局や担当官次第というところです。しかし、登記が通らなくて印鑑を作り直すという手間や費用を考えると、素直にカタカナ読みで登記したほうが良さそうです。ちなみに弊社の場合は「デジタルポイント・インコーポレイテッド」もしくは「デジタルポイント・インク」での登記が可能になります。法務局によっては「デジタルポイント・インク」での登記しか受け付けてくれないところが希にあるようです。
どうしても「株式会社」という商号を付けたい場合は、事前に管轄の法務局で聞いてみるといいでしょう。
商号の中には「・」(中点)を入れてもいいことになっています。外国会社の場合は、商号が長くなることが多いので「・」をうまく使って読みやすくしましょう。
また、名刺や封筒、ホームページなどには、米国に本社がある旨を明記すれば「株式会社」と表記しても問題ないという見解になっています。もともとアメリカの株式会社か日本の株式会社かという違いだけで、どちらも株式会社には違いないのです。株式会社と表記できないほうがおかしな話だと思います。
 
■ 日本での登記日
日本の登記では、登記申請書を提出した日が「登記日」になります。登記そのものは書類を提出してから約1週間後に完了しますが、登記日は遡って書類を提出した日になります。ですから自分で「登記日」を決めることができます。ちなみに「登記日」は登記簿謄本にも記載される「会社の設立年月日」です。大安吉日などを選ぶのもいいでしょう。
 
■ その他の注意点
法務局では、書類を提出してから約1週間後に「補正」という日を用意しています。この時に書類の不備などを修正するわけです。もちろん修正などがない場合は登記完了、その日に登記簿謄本や印鑑証明を取ることができます。
本来、書類提出の日は、受付箱に書類を入れて帰ってくるだけでいいのですが、少し不安な人は登記官に用意した書類を見てもらいましょう。
外国会社の営業所設置登記というのは、法務局の中でも取り扱いが少ないらしく、登記担当官も六法全書のようなものと睨めっこで対応してくれるはずです。
書類の提出日や補正日には、コーポレーションキットを持っていくようにしましょう。なぜなら、確認のために原本を見せてくれと言われる場合があるからです。また、筆記具やカーボン紙の他に、代表者印も忘れてはいけません。
書類提出の際には、連絡用の電話番号も教えておいたほうがいいでしょう。いかんせん、法務局も慣れない外国会社の登記です、後日提出書類の件で質問が来ることもあるからです。
補正日に修正などがないと無事登記完了です。既に登記簿謄本も印鑑証明も取れるようになっているはずです。
さっそく登記簿謄本と印鑑証明を数通ずつ発行してもらいましょう。これからいろいろな手続きをするのに必要になってきます。とりあえず3通ずつくらい取っておけばいいでしょう。ちなみに印鑑証明は1通500円くらい、登記簿謄本は1通1000円くらいです。まとめて取ると、けっこう高いものになりますね。

 


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