最初に決めておくこと

 ハワイ州で株式会社を設立する時には最初に決めておかなくてはいけないことがあります。
 基本的には「
ハワイ州会社登記の詳細」「外国会社の日本登記詳細」「運営維持に関する詳細」の各ページで説明した内容のことです。

■ 会社名(商号)
ハワイの法務局で類似商号のチェックをかけたときに却下されることがありますので、2つほどの候補を用意しておきます。類似商号のチェックとは、同一地域内で似たような名前の会社を登記させないシステムです。このシステムは、アメリカだけのものではなく、日本にもあります。米国での登記完了後に日本でも支店登記をするのであれば、事前に日本の法務局でも類似商号調査をしておくのがベストです。米国で設立した会社の会社名が、日本では使用できないといったトラブルを避けるためにもぜひやっておきましょう。
設立する会社は「株式会社」になります。英語での表記の際には以下のどれかの会社の種類をつけなければいけません。
●Incorporated(インコーポレイテッドもしくはインコーポレーテッド)
●Limited(リミッテッドもしくはリミテッド)
●Corporation(コーポレーション)
●Inc.(Incorporatedの省略形)
●Ltd.(Limitedの省略形)
●Corp.(Corporationの省略形)
省略形には必ず後ろに(.)ピリオドを付けます。また、会社名と上記種類の間には(,)カンマを入れます。
上記の種類はどれも日本の「株式会社」に相当します。ですのでイメージで決めて大丈夫です。
また特殊な形に「Co., Ltd.」というのがあります。ただしこれは、「Co., Ltd.」が会社の種類ではありません。
「Company, Ltd.」(カンパニーリミッテッド)の省略形なんですが、カンマで区切られているとおり、Companyまでが会社名なのです。「Abc Company, Ltd.」という会社の場合、「Abc Company」までが社名で「Ltd.」が種類です。日本語に訳すと「エービーシーカンパニー株式会社」となります。
「Digital Point」という名前を使って整理してみましょう。これを会社登記する場合は以下のどれかになります。
●Digital Point, Incorporated(支店登記する際は、デジタルポイント・インコーポレイテッド)
●Digital Point, Limited(支店登記する際は、デジタルポイント・リミッテッド)
●Digital Point, Corporation(支店登記する際は、デジタルポイント・コーポレーション)
●Digital Point, Inc.(支店登記する際は、デジタルポイント・コーポレーションもしくはデジタルポイント・インク)
●Digital Point, Ltd.(支店登記する際は、デジタルポイント・リミッテッドもしくはデジタルポイント・エルティーディー)
●Digital Point, Corp.(支店登記する際は、デジタルポイント・コーポレーションもしくはデジタルポイント・コープ)
もし名前が「Digital Point Company」だったら、
●Digital Point Company, Ltd.(支店登記する際は、デジタルポイントカンパニー・リミッテッド)
●Digital Point Co., Ltd.(支店登記する際は、デジタルポイントカンパニー・リミッテッド)
となります。
あんまり簡単な単語の会社名にすると結構類似商号チェックに引っかかる可能性が強くなります。他の人も同じようなことを考えているということです。他の人が付けないような独特な会社名にすれば、まず類似商号チェックに引っかかることはないはずです。
Sakura とか Sasaki などと日本語の単語と組み合わせるのもいい方法です。

 
■ 資本金額の決定
最低1ドルの資本金でも会社は設立できますが、銀行の法人預金口座開設や将来的なビザのことを考えると最低1000ドルくらいの資本金が望ましいのです(もちろん多ければ多いほどよいのですが)。
したがいまして弊社では推奨1000ドルとしています。
資本金の入金は会社設立後、法人口座を開設する時で構いません(特にいつまでという期限はありません)。
 
■ 株主(Stockholder)の名前と持ち株数を決める
基本的には1株=1ドルで発行というのが一般的です。1000ドルの資本金の場合は発行株式は1000株(1000ドル)ということになります。株主が1人の場合はその人が1000株の所有者です。複数の株主がいる場合はそれぞれの持株数を決めておきます。
外部の人間から資本参加者を募って、株主になってもらうことも可能です。ただし、会社オーナー以外の株主が50%以上の株を保有すると、経営のコントロールができなくなくこともあるので注意が必要です。
株主のお名前と住所はハワイの定款に記載されることになります。(日本の登記簿には記載されません)
  
■ 取締役(Director)を決める
アメリカの会社は、日本の会社とは少し違う構成になっています。すなわち、まず株主(Stockholder)がいます。株主は会社のオーナーでもあります。つまり一番偉いわけです。
次にこの株主(Stockholder)が取締役(Director)を選任します。二番目に偉い人です。
そして取締役(Director)が役員(Officer)を選任します。役員はこのあと説明しますが、執行役員とも言われ実際の会社業務をおこなう人間ということになります。もちろん役員の中で一番偉いのはPresident(社長)になります。
この取締役(Director)とは、日本で法人登記する際の『取締役』や『代表取締役』とはちょっと意味が違います。日本の取締役はアメリカの取締役(Director)と役員(Officer)を合わせたものというような解釈でしょうか。
日本で支店登記する際には、取締役として『Director』を記載します。しかしもし、President(社長)が『Director』を兼ねていないと話がややこしくなります。従いまして、日本の登記簿に記載する人は『Director』を兼ねておくようにしましょう。
取締役(Director)は日本の登記簿に記載されます。
 
■ 役員(Officer)構成を決める
President(社長)、Vice President(副社長)、 Treasurer(財務役)、 Secretary(秘書役)の4つの役職者が最低必要になりますが、1人ですべてを兼務してもかまいません。
ハワイでの法人口座開設の時には秘書役のサインが必要になります(株を発行する場合も秘書役のサインが必要になります)。したがってハワイでの口座開設に代表取締役(社長)が1人で立ち会う場合には、代表取締役(社長)が秘書役も兼務しておいたほうがいいでしょう。
役員(Officer)のお名前と住所はハワイの定款に記載されます。また日本で支店登記する際にも、役員(Directorを兼ねていること)のお名前と住所は日本の登記簿に取締役として記載されます。通常は(Director)を兼ねているPresident(たいがい株主も兼ねている)が代表取締役となります。
 
■ 事業目的を決めておく
日本での会社設立とは違い、ハワイでの会社設立に必要な事業目的はアバウトでよいのです。例えば、
1、インターネット関連事業
2、執筆業
3、コンサルティング業
という具合です。しかし日本の法務局ではこれでは支店登記ができない場合がほとんどです。
本来このような場合、ハワイの定款の事業目的と日本で登記する際の事業目的は違ってきてしまっても当然です。
しかし、法務局によってはとてもうるさいところもありますから(無用な労力を使わないためにも)、日本で登記する際の事業目的と同じ内容で申請するのがいいと思われます。
事業目的の書き方がよくわからない人は、管轄の法務局で担当官にお聞きするか、以下のURL(東京司法書士協同組合)でもある程度調べられます。
http://www.inter.tsknet.or.jp/service/mokuteki.html
このページに、「インターネット」とか「化粧品」など、自分の事業に関係するキーワードを入れてみましょう。もちろんこれは参考にしかなりませんことをご了承くださいませ。
 
■ 会計年度(決算期)を決めておく
会計年度とはいわゆる「決算月」のことです。会社の会計年度は基本的に自由に決められます。ただし例えば3月に設立された会社の会計年度が5月では、設立されてから約2ヶ月で決算をおこなわなければならなくなってしまいます。当然決算に関するお金もかかりますよね。
したがいまして通常は設立月を会計年度としておけば決算まで約一年程あるので一番好ましいでしょう。設立月以外では、 ●毎年1月1日から12月31日までの会計期間(12月決算)というのがよく利用されます。アメリカの会計期間の標準が毎年1月1日から12月31日までだからです。
よく●毎年4月1日から3月31日までの会計期間(3月決算)にこだわる人がいます。日本の大企業が3月決算をおこなうことが多いからです。しかしこれにはたいした根拠はありませんので、特に気にしなくても大丈夫です。かえって税理士さんなどはこの時期の決算を嫌がることもあります(忙しすぎて)。
 
このようにして米国会社の会計期間を決めますと、日本支店の会計期間も同じになります。
(同じにしないと合算決算の必要が出たときに面倒になります)
 
■ 日本での代表者を決める
ハワイにつくった株式会社を日本の法務局に外国会社の支店として登記する場合には、『日本における代表者』が必要になります。これは本来、アメリカの会社が日本に支店進出する際に、アメリカの本社の代表者(外国人)が日本の支店には着任できないことから、日本に居住している(住所がある)責任を持てる立場の人を届けさせるために必要な事項です。
日本人がハワイに会社をつくった場合は、本社の代表者=日本における代表者となる場合がほとんです。
この『日本における代表者』はハワイでの登記には必要ありません。したがって日本に支店をつくらない場合は不要です。
ハワイの登記には必要ありませんが、日本の法務局に支店登記する際には提出する書類の中で必要になります。
日本で提出する書類は弊社で作成し、ハワイ州の公証人から認証を受けてお渡しします。(基本料金に含まれています)
 
■ 日本での営業所の住所を決める
ハワイにつくった株式会社を日本の法務局に外国会社の支店として登記する場合には、『日本の営業所の所在地』が必要になります。
この『日本の営業所の所在地』はハワイでの登記には必要ありません。したがって日本に支店をつくらない場合は不要です。
ハワイの登記には必要ありませんが、日本の法務局に支店登記する際には提出する書類の中で必要になります。
日本で提出する書類は弊社で作成し、ハワイ州の公証人から認証を受けてお渡しします。(基本料金に含まれています)
日本の営業所の所在地は通常は代表者の自宅住所となります。事務所などを借りている場合は、そちらの住所となります。
事務所を煩雑に引っ越しなどするようですと、法務局への変更の届け出が大変です。このような可能性がある場合は、法務局の営業所の住所は引っ越しの可能性の少ない代表者の自宅の住所にしておくほうがいい場合があります。
 
サービス申し込みの際には上記のような内容を決めておかなければなりません。
 
■ 総発行株式数(授権資本額)と発行済み株式数
総発行株式数(授権資本額)とは、その会社が発行できる株式の総数です。発行済み株式数とは、実際に設立時に発行された株式数のことです。つまり資本金は発行済み株式数と同じになります。
通常日本で会社をつくる場合は、総発行株式数は発行済み株式数の4倍までというような規定があります。しかしハワイの会社にはこのような規定はありません。弊社では総発行株式数は100万株(100万ドル)として書類を作成しています。
 
■ レンタル住所と会社管理人に関して
自前でハワイに事務所を構える人以外は、レンタル住所を使用することになります。これは登記用およびホームページや名刺の表記用に弊社のワイキキ事務所の住所を名義貸しするシステムです。
この「登記用」およびホームページや名刺の「表記用」に住所を借りるのは毎年の更新料に含まれています(設立の年は基本料金に含まれています)。
また、ハワイで会社を設立する場合は、現地居住(アメリカ市民か永住権保持者以上)の会社管理人(Registered Agent)が必要になります。こちらも弊社および現地法律事務所がなりますので心配は不要です。また、料金も基本料金に含まれています。

 


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